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Overseas Insurance Blog

旅行保険の裏側を支える保険会社にA評価が付いた意味

旅行保険の裏側を支える保険会社にA評価が付いた意味

ニュースの概要

格付け会社のAM Bestが、TMHCC (CI) Insurance SPC Ltdに対し、財務力格付けでA(Excellent、優秀)、長期発行体信用格付けで「a」を付与しました。見通しは安定的です。この会社は、HCC Medical Insurance Services(WorldTripsブランド)が運営する旅行医療保険事業を、保険会社として支える役割を担います。評価の根拠として、AM Bestは旅行医療保険事業の過去の引受収益性(=保険料に対して支払いが十分に抑えられてきた実績)と、新しい保険会社体制に移行しても収益性を保てるという経営陣の見通しを挙げています。ブランドと保険会社が別であることを、あらためて意識させる発表です。

引用元: WorldTripsの旅行医療保険事業を支えるTMHCC (CI) InsuranceにAM BestがA評価(AM Best / Business Wire)

分析・見解

販売ブランドと保険を引き受ける会社は別物

旅行保険の申込画面に出てくる名前は、多くの場合、販売ブランドです。たとえばWorldTripsは、保険を売り、事務を回す側の名前です。実際に保険金を支払う責任を負うのは、裏にいる保険会社です。今回A評価を受けたTMHCC (CI) Insuranceは、その裏側の会社にあたります。

加入者の目に入るのは保険料や補償額の表です。しかし、本当に頼りになるのは、大きな事故が起きたときに支払い切れる体力のほうです。格付けは、その体力を外部の目で点数にしたものです。

「A」は上から3番目。意味を数字で捉える

AM Bestの財務力格付けは、A++、A+、A、A-、B++と続きます。Aは上から3番目で、評価の言葉は「Excellent」です。つまり最上位ではなく、ただし十分に堅い水準です。

ここで押さえたいのは、見通しが安定的であることです。上向きでも下向きでもなく、当面は今の評価が続くという意味です。旅行保険のような短い契約でも、請求から支払いまで数か月かかることがあります。その間に引受会社の体力が落ちないかを見る材料になります。

評価の決め手は「体制が変わっても儲かるか」

今回の評価で目を引くのは、保険会社の体制が新しくなる点です。引受会社が替わると、加入者から見れば同じブランドでも責任の所在が動きます。AM Bestは、過去の収益性と、新体制でも利益が出るという見通しを評価しました。

旅行医療保険は、事故のばらつきが大きい商品です。米国での入院は1回で数百万円に達することもあります。こうした高額請求が重なっても、会社が耐えられるかが勝負です。実績のある事業を新しい器に移す際、その実績が引き継がれるかが評価の分かれ目になります。

海外医療費の高騰が、保険会社の選別を厳しくする

米国を中心に、医療費は年々上がっています。保険会社にとっては、支払いが読みにくくなる時代です。一方で、旅行や海外赴任の需要は戻っています。

この状況では、価格だけで勝負する保険会社より、財務に余裕のある会社が生き残りやすくなります。格付けは、これから契約先を選別するときの共通のものさしになっていくでしょう。日本の保険選びでは、補償額の比較が中心です。しかし、支払う側の体力まで見る習慣は、まだ弱いのが実情です。

ビジネスへの影響

保険を選ぶとき、引受会社の名前まで確認する

海外出張や駐在員向けの保険を選ぶ担当者は、パンフレットの補償表だけで決めないほうが安全です。確認したいのは三点です。引受会社はどこか、格付けは何か、見通しは安定的かです。

特に長期滞在や駐在員向けの保険は、契約期間が長く、請求額も大きくなりがちです。引受会社が変わった年は、約款の責任主体を読み直す価値があります。社内の海外渡航規程に「引受会社の格付けがA-以上」といった基準を入れる企業も増えています。

請求時の現実的な対応力も合わせて見る

格付けは支払い能力を示すだけで、手続きの速さまでは保証しません。キャッシュレス診療(=本人が窓口で現金を払わずに済む仕組み)の提携病院数や、日本語の相談窓口、請求書類の電子化は別に確かめる必要があります。

実務では、格付けと運用面の二つを表にして比べるのが確実です。担当者が一人で判断せず、人事、総務、経理の三者で見ると抜けが減ります。

社内説明に使える材料として活かす

今回のような格付け発表は、保険会社を替える、または継続する理由を説明する材料になります。更新時期に、その保険会社の直近の格付けと見通しを一枚にまとめて稟議に添えるだけで、説明の説得力は上がります。

逆に、格付けが下がった、見通しが悪化したという情報が出たときは、更新前に代替案を比較する合図になります。年に一度、主要な契約先の格付けを確認する習慣を作ることをお勧めします。

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